インビ2
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しかし孝弘は無言で一枚の紙を懐から取り出し、それを勇樹に手渡した。それは、恐らくは、成績証。氏名の所には短く『八神』と殴り書きされている。インヴィテイションの成績証を勇樹は見た事がないが、『エネルギー総量』や『コントロール力』『神経適合率』などといった項目を書く他の職を、勇樹は知らない。 五十程ある項目の中で、大半の数値がオレンジで書かれており、五項目の数値が赤い。黒で書かれた文字は三分の一程。青の数値で書かれているのは、たったの三つ。 数値から判断して、黒は平均点で、青は良いものなのだろう。 (オレンジは悪く、赤は救い様がない、ってとこか)  ……これだけ悪い数値を叩き出してしまえば、落第もしかたがない…… 「こんな成績出してたんですか、俺」  あまりにも酷すぎる。才能の欠片すら見当たらない。 勇樹は、自嘲の笑みを浮かべてさえいた。  これに孝弘は、 「おいおい、誰が、いつ、それをお前の成績だと言った?」  肩を竦めておどける。  だが、氏名欄には『八神』と書かれているではないか。  エネルギー総量の低さやスタミナの無さなど、自分に該当すると思われる項目は軒並み低い。  仮に、他のスクールで同姓の者がいたとしても、これほど酷い点数を出せる者が自分以外にいるとは、勇樹には思えない。 「じゃあ、誰のです?」  その疑問を、勇樹は口に乗せた。 「わからんか? じゃあ、ヒントだ。これはお前の成績じゃないが、お前と極めて似たデータを出している事は認めよう」