インビ2
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一枝が射撃場のドアノブに手をかけると、がちゃり、と扉が開けられた。 「……どうも」  銃を持つ勇樹の顔には疲労が濃く滲んでおり、汗が珠のように額にいくつも浮かんでいる。左手には、ボロボロになった的。  命中精度だけなら、今期の中でトップの彼が、これほど的をボロボロにしたのは、見た事がない。的の外側までもが銃弾によって破けているなど、訓練を始めて一ヶ月が経った今では、他の生徒でもやらない。 弾倉の装填速度を除けば、唯一と言っても良い戦闘的長所がこうでは、勇樹の落第は間違いない。 「あ、勇樹君……その」 「成績の事ですか? 落第寸前だって事は、重々承知していますんで、大丈夫ですよ」  故に掠れた声が出てしまったのだが、そんな一枝には構わず、勇樹はよろよろと歩き出す。 「とりあえず、今は悪あがきをしている最中なんで……」  背を向けたまま的を持った手を力無く振る。  シュミレーションルームで模擬戦闘をしていたのならばともかく、射撃場でどうしてあそこまで疲労するのか?  一枝は首を傾げつつ、しかし疲れ切り、さらには成績の事まで何でも無い事のように告げた勇樹に聞く訳にもいかず、射撃場に入る。  いつも彼が使っている奥の射撃コーナーに進むと、 「な、何発撃ったの、彼?」  手元には百発以上はある空薬莢。眼を的に向けてみると、これまた酷い。壁に所々銃痕がある。  的の後ろには、直径五メートル程の緩衝材を組み込んだ壁があるが、それにすら当っていない……つまり、的に当った弾数の方が、はるかに少ない。  ……ますますひどくなっていないだろうか?  不安を通り越し、一枝は勇樹が何を考えているのかわからなくなってしまった。