|
インビ2
| |||||||||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
「…………」
「一番年上のあたしがそう思うんだもの。小さな子もなんとなくだろうけど、そういった事を察するわよね」
顔をさげ、朱実は視線を勇樹に見据える。強い意思を込めて。
「でも、それじゃあダメなのよ。あたしは証明しなきゃいけないの。やれば出来るんだって事、諦めなければ夢はかなうって事を」
私は、皆の先頭に、前に立たなければいけないの。
「……子ども達のために、か?」
朱実は顔を伏せる。
「……やっぱり、ダメ? こういう理由?」
そして、上目使いで、すまなさそうに問う。
「……立派な理由だと、俺は思うぜ」
……俺なんかより、ずっと、立派な理由だ。その一言だけは言えず、勇樹は背を向け、用意された寝室に向かう。
「……ありがと」
何のてらいもない感謝の一言が、勇樹には何よりも、何よりも重く感じられる。
「……俺は……俺だ」
廊下で、ぼそり、勇樹は呟く。
「……他人の理由なんて、関係無い」
俺は、俺のためだけに戦う。
借金を返すためだけに戦う。
……そう、決めたはずだ……
親父は、馬鹿だ。
ああいいうふうにはならないと、決めたんだ、俺は。
……決めたはずなのに……
……どうして、こう、心がグラグラ揺れるんだろう?
睨んでも、廊下の闇は。
勇樹の問いに、答えてはくれなかった。
| ||||||||||||||||||||||||||||||||