インビ2
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「う〜ん……伸びてこない」  職務室で資料片手に頬杖を突き、一枝は眉間にシワを寄せていた。  ある程度、覚悟はしていたが…… 朱実は、不得意な武器や諸々の道具のコントロール分野を除けば順調に伸びているし、誠二もスピードに磨きがかかっている。香もコントロール分野の進歩には眼を見張るものがある。  しかし、一枝が持っているデータは、六日前のものと、ほぼ寸分違わず、成長していない。上がっているものも僅かな上昇で、測定機械の誤差の範囲内。普通は六日間あれば、得意項目くらいは上昇するものなのだが。 「今日だって、自主訓練はしてたんだけどね……」 「どうしました、神さん?」  声に弾かれて、一枝は慌てて顔を上げる。 「あ、に、仁科さん」  短く刈り込んだ頭髪に筋肉質の体。だがそれに相反して狭い肩幅と人懐っこそうな眼が彼―仁科豊彦―の容姿を優しく見せていた。 自分の事を快く思っていないのは、主に上の『制服組』と言われる実戦を知らない幹部連中だ。教官本人はあまりそういった事は気にしていない。現場と同じで実力優先主義だからだ。  もっとも、自分の力を妬む教官はいるし…… 「うん? ああ、生徒さんの成績ですね」  資料を覗き込む眼が、少しばかり険しくなった。 「……伸びてませんね」 「……そうなんですよ」  疲れたように、白髪をかきあげる一枝。  このままでは、最悪、『落第』、という事も考えられる。